1 まずはトビタテ留学JAPANの全体像を理解
みなさんはトビタテ留学JAPANという名前を聞いたことがありますが?これは文部科学省が、海外留学をする若者をサポートするためのプログラムで2013年からスタートしたものです。主な事業は3つあります。
- (1)「新・日本代表プログラム」
高校生や大学生で海外に行きたい!海外大学に入学したい!という方向けに返済不要の奨学金を支給する制度
- (2) 「留学プラットホーム事業」
留学したいけどなにからしたらよいかわからない・・・という人向けに留学に関する情報をまとめたり、奨学金をあたえてくれる団体を紹介したり、留学イベントを紹介したりなど留学に関してたくさんの情報を与えてくれる事業です
- (3) 「価値イノベーション人材ネットワーク事業」
海外体験をした人に更に成長してもらうためにネットワークを広げる支援を行う事業です。例えば「新しい会社を作るために海外に留学したい」という人にただ海外で留学するだけでなく、日本の企業家を紹介して一緒に仕事をしたり、起業の夢を更にサポートする事業です。
これら3つのプログラムを通じて、日本からやる気と熱意にあふれた若者に海外で学ぶチャンスをつくろうというのがトビタテ留学JAPANの特徴です。
さて、このトビタテ留学JAPANの大目玉はなんと言っても奨学金普及のための「新・日本代表プログラム」です。このプログラムには高校生向けと大学生向けの2種類があります。ここでは高校生にむけた日本代表プログラムをまとめていきます。それでは奨学金制度について詳しく見ていきましょう。
2 新・日本代表プログラムとは?(高校生向け)
さて、このプログラムは端的に言うと「海外留学のための奨学金支援制度」です。勘違いしやすいのが海外大学に進学したい人向けの奨学金ではないかということですが、そうではありません。このプログラムでは、留学は留学でも「実践を伴う留学」を「自ら計画を立てて」留学する人のための奨学金です。
実践を伴うってなに?と思ったかもしれません。たとえば学校の教室で先生が教える授業は座学に近いでしょう。そのような知識を習得するものでなく、ボランティアやフィールドワーク、インターンシップなど地域や企業などと一緒に実践、実習していくことを「実践を伴う留学」といっているのですね。なおかつ、「何を学びたいか」は人に与えられる物ではなく、自ら目標を立て計画を立てて留学することもこの奨学金の特徴です。自ら考えて行動し道を切り開いていける人材を育てたいという狙いもこの奨学金の制度にはあるのでしょう。
まずは基本的な情報をまずは確認しましょう※2024年度の募集要項を参照しています。簡単な説明にとどめますので詳細はHPでご確認ください
- (1) どんな留学に奨学金が貰えるの?
先ほどもお伝えしたように、このプログラムは、海外での異文化体験や探究活動を伴う留学をサポートするものです。間違えてはいけないのは決して海外大学に進学するための奨学金ではないと言うことです。下記のような例の自分の興味ある探求活動に対して奨学金のサポートを受けることができます。
(例)高校生でたとえばパティシエを目指す学生がいたとしましょう。この生徒は「日本で本場フランスのお菓子をつくりたい!」と思い、フランスでお菓子作りを学びたいと考えたとします。そのために1ヶ月住み込みでお菓子作りの基礎をフランスで教わるため奨学金をもらった
(例)日本で普及していない電気自動車について学びたいと思った学生が、電気自動車製造の企業へインターンを申し込み、1ヶ月滞在するために奨学金をもらった
- (2) 募集コースについて
高校生向け新・日本代表プログラムには主に3つのコースがあります。
① マイ探求コース
募集人数:360人
内容:自分の興味のある分野について課題を設定し、海外に行って探求活動を行う人向け
② 社会探究コース
募集人数:200人
内容:SDGsなどをふまえて今世界や日本が抱えている問題を自分の立場で解決策を考えて探求活動を行う人向け
③ スポーツ・芸術探求コース
募集人数:140人
内容:スポーツや芸術の分野で興味のあるテーマを設定し、探求活動を行う人向け
各個人の留学目的によって申し込むコースが違うと言うことですね。フランスでお菓子作りを学びたい!であれば「マイ探求コース」でしょうし、電気自動車を普及してCO2を減らしたい!であれば社会探究コースでしょう。
驚くべきは、募集人数です。全ての合計で約700人もの学生が支援を受けられるのは他にないでしょう。それだけ政府が若者を海外に出して経験してもらいたいと願っていることがわかります。
- (3) もらえる奨学金はどれくらい?
さて続いては、奨学金の支給額についてです。こちらは一番気になるポイントでしょう。この奨学金プログラムでは「行きたい国によって貰えるお金が違う」ことがポイントです
① 地域区分1(北米、シンガポール、ヨーロッパ、中近東)→月に16万円
② 地域区分2(アジア、大洋州、中南米、アフリカ、上記除外国)→月に12万円
※家計基準を満たしている場合
たとえば、「アメリカの企業にインターンするため100日行きたい」と計画を立てた学生がいたとしたら、支給額は下記の通りです。
16万円×4ヶ月分=64万円
「パティシエをフランスで学ぶため200日滞在したい」であれば
16万円×7ヶ月分=112万円
留学期間が124日以内の場合を「ロング以外」を呼び、125日以上を「ロング」と呼びます。「ロング以外」の対象者は奨学金が「留学終了後」となり、「ロング」対象者は「留学開始前・留学期間中毎月」となることも大きな特徴でしょう。
- (4) 応募方法はどうすればいいの?
さて、ここからは実際にどのように応募すればよいかについてです。この制度は自分一人で申し込めると思ったら間違いです。今自分が通っている高校の先生の協力がなければ応募ができないようになっています。
詳細は必ずHPでご確認をいただきたいのですが、簡単に言うと学生と奨学金を与える日本学生支援機構でのやりとりでなく、間に学校が入り手続きを行うと言うことです。
なので全ての申込は本人がやるのでなく、学校がやると言うことですね。もちろん書類の作成は本人がやるのですが提出はあくまで学校です。なので学校の協力が必要不可欠になってくるのです。
その後、書類審査→面接審査を通じて合否が決定していくのです。面接は東京や大阪、札幌、福岡、名古屋、仙台等で開催をしています。
高校在学中に留学行くというのは本人だけでの判断はできません。もちろん親もそうですが、所属している学校は「留学期間の単位はどうする?」や「留学中の授業参加日数はどうする?」などを考えないといけないのです。なので「留学に行きたい」と思ってこの制度を利用する際にはかならず学校の先生に相談に乗ってもらい、学校側の許可を得て応募してください。
3 奨学金を勝ち取るには?
ここまで奨学金についての概要をお伝えしてきました。最後に、この奨学金をもらうためにどのように書類をかいたり面接に臨めばよいかを考えていきましょう。
まず何よりも大切になってくるのが、この奨学金制度を使ってどんな留学をしたいのかを自分で計画を立てるということです。通常の奨学金だと「大学の学費補助」が主なので「奨学金の使い道」は明らかですが、この新・日本代表プログラムでは、留学中のやることや滞在先を全て自分で考えることが求められます。その「留学計画」がなによりも大切になってくるでしょう。
ではどのように留学計画を立てていけばよいでしょうか。
まず考えるべき事はこの留学の目的です。そもそもこの奨学金制度を取得したい人は、多くの人ががはっきりと学びたいことが決まっている人が多いので大丈夫かと思うのですが、やみくもに留学計画を立てればよいというものではありません。まずはこの奨学金制度がなぜ作られたのか、国は「お金」をだしてどんな人材を育てたいのかということを考えなくてはいけません。
この新・日本代表プログラムのキーワードは「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダーの育成」です。「失われた30年」を経て日本全体の国力が落ち始めている今こそ、未来を変革するイノベーター、グローバルで活躍できるリーダーを育てたいのです。もちろん自分の興味のある分野でのグローバルリーダーを目指す事は素晴らしいのですが、是非「社会貢献」や「日本の未来をよくする」という視点を入れてみてください。例えば日本の課題である少子高齢化、労働人口減少、経済の停滞、スタートアップ企業の不足などの課題に対して、解決策を探していく留学や、SDGSなどの国際問題に対して解決策を探す留学にすると、「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」に近づくことができ、奨学金をわたす政府の希望とも一致します。
例えばパティシエになるためにフランスにいきたいという目標より、「一流のパティシエの技術を学び、高齢化した商店街に人気の洋菓子店を出店し地域の活気を取り戻したい」という目標の方が「日本の課題を解決する」目標につながります。このように単なる「自分視点」の目標や計画ではなく、日本や世界の課題、社会問題を視点に入れて計画を立てることが重要だと思います。
若いうちから日本や世界をよくするために行動を起こす若い青年に日本の大人たちは大きな期待を寄せています。そのような人たちから真のグローバルリーダーが生まれることを信じてこの奨学金ができたのだと思います。是非その視点を持って奨学金に応募してみてください。
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